季節の写真館 Vol,84
2004年9月上旬

季節は夏から秋に
−今夏、農園では様々なふれあいがありました−

 9月に入り、残暑の中にも秋が感じられる頃となりました。
 稲の穂が色づき、クリが実り、これから 10月にかけ、丹波は収穫の季節を迎えます。

 農園のクリも今年はご覧のように多くの実をつけています。
 今は、毬(いが)というトゲのある外皮に包まれていますが、まもなく毬が割れ、中からクリの実が顔を覗かせてくれます。
 あんなに暑かった夏から、季節は確実に秋に向かっていることを感じます。
 収穫は9月10日過ぎから始まります。

 奥丹波の稲の圃場は、今が稲の刈り取りの最中を迎えました。
 今年の夏は暑く、また、水にも恵まれ例年より早く成熟しました。

 こうした稲刈りが始まると、これも夏から秋への季節の移り変わりを感じます。

 この夏の農園の様子を少し振り返ってみたいと思います。
 袋の中から現われた豊かに実ったぶどうを中心に農作業があり、ふれあいがありました。

 猛暑で作業は大変でしたがお盆頃から収穫したぶどうを全国各地に、また地元の方にお届けしましたが、多くの方から「美味しい」との評価をいただきました。
 こだわりの栽培にも多くの支持をいただきました。

 8月下旬のぶどう園に毎年恒例の保育園児がやってきました。
 昨年も来たお馴染みさんも多くいます。
 「今日のぶどう狩り、とても楽しみ!」という園児のあどけない笑顔に、つい私も「みんなが来るのをとても楽しみにしていたよ」と声をかけます。

 園児の一人から「どのようにして、このぶどうを大きくしたの?」と質問されました。
 4〜5歳の園児への答え方ってウ〜ン難しい。
 「みんなが保育園で、お花や植物を大切に育てているように、このぶどうも、お水や肥料をやって、お日様にもあてて、大切に大切に育てたんだよ」なんて質疑応答もしました。

 保育園の先生から、「ここのぶどうはとても丁寧に育ててくれ、安心していただけます」と園児に話していただき、その場でみんなで食べていただきました。

 8月24日から4日間、県下の高校から4人の先生の農業研修を受け入れました。
 農業とは関係のない高校の先生方でしたが、異分野の仕事を幅広く経験するという目的で来られたのです。

 現場の作業は、草を刈り、かき集めてぶどう園の中に入れる仕事をしてもらいました。
 こうした作業の合間には、農業の情勢、これからの農業の方向、環境問題などの話し合いの時間も持ちました。
 「鴨庄っ子の森」の関わりでは、地元小学校の教頭先生からも自然環境のお話がありました。
 「全ての動植物が連鎖をしており、人の都合でどれを省いても、大変大きな影響を受けます」という内容の話しもお聞きしました。

 それぞれの先生から、研修後の感想をお聞きし、農業への認識を新たにした旨の話しをいただきました。
 市島町も好きになられたようです。
 また、一人の先生からメールが届き、あとのところで、了解の上で、その一部を掲載させていただきましたのでご覧下さい。

 ついに私の思いが実現しました。
 農園で、「農」の豊かさを感じながら、「農園ライヴ」をしてみたいという思いです。

 8月29、30日に、西宮の「Jフィルハーモニー管弦楽団」の皆さんに農園に来ていただきました。

ムラの公民館で2日間の練習をし、夜は地元からも大勢の聴衆を迎え、演奏者も聴衆も一体となった「農園ライヴ」でした。

 曲は「ウインナワルツ」を主要なレパートリーとした内容でした。ウィーンの近郊ではぶどう畑が広がり、そこで収穫されるぶどうやワインを楽しみながら音楽があるというのが習慣のようですが、この夜のライヴも農園のぶどうやコーヒー、ビールを自由に食しながらのひとときでした。

 聴衆の方からは、こうした山村で、直に生のコンサートが聴けて本当によかったと言っていただきました。

 ウインナホルンを奏ているのが、指揮者の吉田徹さんですが、ウインナワルツをこよなく愛する吉田さんの世界へはHPアドレス http://j-philharmoniker.hp.infoseek.co.jp/ からどうぞ。

 農園の稲も豊かに実りました。
 コシヒカリはすでに刈り取りが始まっていますが、酒米も刈り取りが始まろうとしています。
 HPの「今年の稲が取れるまで」のコーナーで取り上げている酒米「杜氏の夢」もすっかり色づき、刈り取りを1週間後に迎えました。
 9月12日には大勢の都市からの参加者に来園いただき、収穫を楽しみたいと思います。

 この日は、この催しの関係者が稲の現場を見に来られました。みんなの目が稲に注がれます。
 「立派に育っている〜」。地元酒蔵の山名さんからも今年の出来は太鼓判をいただきました。

 さらに、10月には純米吟醸酒「奥丹波」の酒米である「山田錦」の収獲が待っています。

 まだ青く見える稲が山田錦ですが、これも順調に育っています。

 保育園児も「この稲いつ刈るの」と可愛い目を稲に注いでくれました。

 こうした稲の成長を見て、教えることも大切なことだと思うのです。

 稲やぶどうのほかに、圃場では丹波黒大豆が大きく育っています。
 この黒大豆は丹波を代表する特産品ですが、この取り扱いを9月中旬から始めたいと思います。

 こちらの方もどうぞよろしくお願いいたします。

 農業研修に来ていただいた一人の先生からのメールです。
 今最も深刻な危機の一つが農業問題(環境とも関わっています)だと思います。
 みんなで考えていくべき問題です。

 農業研修お世話になりました。
 裏の里山の見学など、私にとっては大いに勉強になりました。
 できればもう一回行って、今度はクワガタやカブトムシを見つけたいと思ってます。

 私は、そもそも一次産業がわからなければ、二次産業・三次産業がわかるわけがないという考えで、それを 肌で知るべく、農業体験を選択させてもらいましたが、研修を通して、知った話し ・作業体験を通して、ますますその意を強くしました。
 国の根幹は農業・食料確保であり、国造りは、人作り・物作りが根幹であります。
 我々はその人つくりに関わっていますが、物作りは農業こそが基本であります。
 土地に根ざした食料がなければ国家は成立しないのに、政治家は食料は外国から買えばいい、果ては金融だけで、国が成立するかの錯覚にとらわれている有様です。

 今後は、この土地に根ざしたもの作りを、教育に何か活かしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

丹波市市島町鴨庄地区 にて
(2004.9上旬)


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