季節の写真館 Vol,77
2004年3月16日

「農耕の春」スタート!

 3月も半ばを過ぎ、陽光は春の陽射です。
 今年の冬は例年になく暖かい日が続き、桜の便りも早まりそうです。

 この時期土・日になると、トラクターで田を起こす作業があちらこちらの圃場で見られます。

 穏やかな天候が続くと心は外へ外へと向うのです。

 さあ、「農耕の春」スタートです。

 全ての作物が春夏秋冬の四季の中で栽培され、育まれ、やがて収穫されます。
 農村では季節に合わせてこうした農業の営みがあり、そこに文化や催事があり、食べ物や暮らしがあります。

 今日はムラの神社に祭られた「お稲荷さん」で初午(はつうま)の行事がありました。
 暦にも初午とあり、このムラに限った行事ではありませんが、一年の五穀豊穣を(ごこくほうじょう)を願う催事で、毎年農作業の季節を迎えた新暦の初午の日に近い休日に開かれます。
 農耕の神様といわれる稲荷に一年の豊作を祈るのです。
 催事の内容はそれぞれの土地によって違うようですが、ムラでは、お年寄りが当番で、油揚げやささ酒をお供えします。
 稲荷にはキツネと油揚げは付き物です。

 そういえば、現在でも油揚げのお寿司を「いなり」と言いますね。

 全国的にも有名な伏見稲荷や豊川稲荷も、このムラの小さな稲荷も同じ農耕の神様なのでしょう。
 この国の民族が古(いにしえ)から今日まで意識的にしろ、また潜在意識の中でどこかでそっとこうした祈りの手を合わせてきたのだと思います。

 農業の楽しみのひとつは、その土地の農産物を加工して、美味しく味わうことだと思います。
 農園でもこれまで、巨峰ジャムやコンニャクなどを作りましたが、今日の加工品は自家栽培の大豆を使った「豆腐」「おから」づくりです。
 市販の豆腐の材料豆はほとんど外国産ですが、ポストハーベストや遺伝子組換えなどの懸念もあります。
 身近で安心の大豆が豆腐に変身です。

 作る過程で、「ああだ」、「こうだ」とワイワイ言いながら作り上げていくのがまた楽しいのです。

 大豆を煮立てて、豆腐の製造に欠かせないにがりを加え、布に移してみんなで思い切り搾り、濾されて固まったのが豆腐で、布の中に残った絞りかすがおからです。

 手軽にでき、また、おからは、コロッケやハンバーグにとその美味しさを味わった今日の加工のひとときでした。
 農業にはやはり加工という要素や味わいの要素が欠かせないと思うのです。

 この時期の外の農園の様子をご覧下さい。
 クリ園の芽吹きも間近です。
 それぞれのクリの木元には堆肥を十分施しているのがおわかりいただけると思います。

 そして、クリ園で盛んに芽を出しているのがフキノトウです。
 やがてここからヤマブキが一面に顔を出します。
 このヤマブキも来年あたりから農園でつくだ煮として加工したいと思います。

 ムラの女性が手がけている圃場の手入れも力が入ります。
 自分たちの生産した作物を直接消費者にお分けしたいという希望があります。

 買っていただき、多少とも収入になれば、「旅行に行きたいワ」という思いで心が弾みます。

 前回のHPで触れましたように、今、農園では新たな果樹園の整地をしています。
 今秋以降にブルーベリーの植栽を予定しており、これから土づくりを行います。

 また、数日のうちに新たな「農」施設の第一歩となる基礎づくりにかかりたいと思うのです。

 今年は新たに、地元の酒蔵「山名酒造」とのつながりで、年4回(5月、8月、11月、2月)この農園などで、消費者の方との交流会を予定しています。

 また、昨年に引き続き、8月に県下の高校の先生の農業体験を受け入れる予定です。
 関係者のお話では、昨年多くの先生が様々な企業に体験研修された中で、この農園での農業研修だけが100%満足とのアンケート結果だったとお聞きし、まあ今年も希望者があればお引き受けしようかと思った次第です。

 農業だから当然楽なことばかりではありませんし、厳しい状況にあります。
 でも、農園で縁あっていろいろな方とお話する時は、努めて「大事な面」、また、「楽しい面」にふれていきたいと思うのです。
 今、大半の農業者は希望を無くし、このままでは農業は崩壊すると感じているのです。
 多岐にわたり大変な問題です。

 一人でも多くこのHPの私のメッセージに同調いただく方があれば嬉しいです。

丹波市市島町鴨庄地区 にて
(2004.3.16 撮影)


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