季節の写真館 Vol,52
2002年8月4日

今年もカカシ祭りの賑わいがやってきました

 毎日暑い暑い夏日が続きます。いかがお過ごしでしょうか。

 奥丹波のムラにカカシ祭りの季節がやってきました。

 今年もムラの沿道に約70体のカカシが並びました。

 みなさん「ようこそ丹波:市島町へ。ようこそ鴨庄のカカシ祭りへ」。

 それぞれの家庭や集落、学校などで作られた自慢のカカシが持ち込まれ、据えつけられます。

 まずは、この赤鬼。
 ご夫婦で作られ、取り付けもご夫婦で汗を流されていました。「毎年、カカシづくりが面白くて、面白くて。自分の思いが自由に表現できるまたとない機会です」と。ちなみに、制作費は古着の活用で200円ぐらいだとか。まさにタイトル通りの「生甲斐(いきがい)でした。

 ムラの女性たちがワイワイ言いながら取りつける姿があったり、私の近所で作った「不正はアカン!」のカカシもこんな出来栄えになりました。

 「お兄ちゃん、柿ぼげたヨ」という妹の声が聞こえます。
 「柿をぼぐ」というのは方言でしょうか。「取る」という意味です。
 竹の竿の先を二つに割り、そこに枝を挟み、竹を回すと枝が折れ柿がぼげるのです。

 「柿ぼぎ」−ほんのり懐かしい秋の風情です。

 「有機の里 いちじま」というテーマで牛が登場しました。
 カカシが本物の牛を引っ張っているのかと思うほど、本物そっくりの牛でした。
 牛は有機農業の象徴のような動物です。
 草や残飯を食べてくれ、堆肥は土壌に還元し作物を育てました。
 以前はどの農家も大切に牛を飼い、毎日散歩もさせていました。

 今は、牛を飼う農家もなくなり、堆肥は化学肥料に代わり、牛に代わり散歩の主役は犬になったようです。

 トトロと少女のカカシに出会いました。
 「となりのトトロ」の映画に登場するのは、昭和30年ごろの日本の農村を舞台に、妖怪のトトロとサツキ、メイの姉妹が繰り広げる温かな場面です。
 今、里山を見直す動きが広がりつつありますが、そこには、ニッポンが失ったかつての豊かな里山が描かれています。

 今年はワールドカップでニッポン中が大いに盛り上がりました。
 試合もさることながら、各国のスター選手に注目がいきました。
 「ベッカムさま」も大変な人気で何体も出展されていました。

 それにしても、ボールひとつで、国も政治も超えてこんなに盛り上がるサッカーて、スゴイ!。

 カカシを見ながら、おじいさんが自転車にお孫さんを乗せて通り過ぎて行きました。
 微笑ましいと思いしや、これもカカシでした。
 毎年出展されていますが、いつも孫とのふれあいカカシです。

 こうしたふれあい大切ですね。

 カカシ祭りのオープニングフェアです。
 日が西の山に差しかかる頃から夕涼みを兼ねて、カカシ見物の人が増えます。
 「今日も一日暑かったなぁ」が会話ですが、冷たい飲物で会話もはずみます。

 鴨庄地区加工部会の手づくり料理がそこにはありました。

 この暑さの中、大人は疲れ気味ですが、ムラの子供たちは元気です。
 今年も、「あっちいった。こっちいった」と元気にアマゴを追いかける子供たちの姿がありました。

 日焼けして「面白かった」という子供たちの笑顔、子供本来の姿ですね。

 カカシ祭りの沿道の稲も今年は例年よりも早く成熟し、8月下旬には刈り取りの時期を迎えます。

 カメラに写るカカシのバックグランドの稲もこれから日ごとに黄金色(こがねいろ)に変わっていき、季節の移り変わりがあります。

 「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」−豊作を願い、豊作に感謝しながら、「過剰米で今年も大変」という複雑な思いがよぎる時期でもあるのです。

丹波市市島町鴨庄 より
(2002.8.4 撮影)


季節の写真館 の バックナンバー は ここをクリック!!