季節の写真館 Vol,113
2008年1月13日

清々(すがすが)しい新春を迎えて − 野に「春の七草」を求めました!

 今年も年が明けて早や2週間が過ぎました。
 奥丹波は年末、年始の雪もなく穏やかな日が続きます。

 今年一年が穏やかで、よい年でありますように祈念いたします。

 毎年恒例の消防の初出式。
 一斉放水の七色の虹は、「今年一年にわたり、虹の架け橋のようなよい年でありますように!」という願いのようです。


 1月9日、10日は地元の恵比寿神社の恵比寿まつり。

 「えべっさん」の愛称で親しまれますが、商売の神様として、「商売繁盛」、「いい福が来ますように!」と 祈願されます。

 農業にとっても、商売にとってもよい一年でありますように!


 1月11日に「鴨庄っ子の森」でお馴染みの地元小学校で「とんど焼き」の行事がありました。

 「お正月の書初めを燃やすと字が上手くなる」とか、「一年が無病息災で暮らせる」とかの謂れ(いわれ)があるようですが、大空高く舞い上がる火が、全ての厄物を焼却してくれているようです。


 今日は野の「春の七草(ななくさ)」をご紹介いたします。

 野に町内の「認定こども園よしみ」の子どもたちの元気な姿や大きな声が聞かれました。
 子どもは外が大好きで、元気いっぱいです。

 ご覧下さい! 子どもたちが一生懸命七草摘みをし、得意げに「あったよ」というポーズ。

 みんな、イキイキ表情です。


 摘んだ七草は、早速種類別に分けられました。
 「先生、これは何の草?」、「だいこんは知ってるよ」・・・とみんなワイワイと。 

 春の七草とは、せり、なずな(ぺんぺん草)、ごぎょう(ははこぐさ)、はこべら(はこべ)、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(だいこん)を言います。※カッコ内は現在の名前

 古くから和歌などで歌われてきており、それぞれが体にとてもよく、七草粥(かゆ)は日本人の知恵が生んだ薬膳料理なのです。


 それでは、七草それぞれに少し説明をしたいと思います。

 まず、「せり」です。

 水田、沼、小川など水のあるところや湿地に生えます。
 せりあって生えることからセリと言われるようになりました。
 多年草で、特有の強い香りがあります。


 「なずな」。

 一般的には「ぺんぺん草」といった名が通っています。
 畑や道端、土手、荒地など日当たりのよいところに生える二年草です。
 花の咲いた後の実が、逆三角形で三味線のバチに似ていることからぺんぺん草とも呼ばれます。


 「ごぎょう」。

 道端や荒地、田畑のあぜなど、日当たりのよいところにかたまって生える二年草です。
 草全体が白い毛に覆われており、厚ぼったく、茎は根元から株のようになっています。

 春、黄色の小さな花を茎の先にたくさんつけます。


 「はこべら」。

 小鳥が好んで食べるので、ヒヨコ草とも言います。
 春から夏にかけて一面はびこります。

 島崎藤村の有名な「千曲川旅情の歌」の一節に出てくる「はこべ」もこの草です。

 小諸(こもろ)なる 古城のほとり 雲白く 遊子(ゆうし)悲しむ 緑なす はこべは萌えず 若草も しくによしなり


 「ほとけのざ」。

 冬、水田などの土にへばりつくように葉を広げている二年草です。


 「すずな」。

 カブのことで、お馴染みの野菜です。
 ジアスターゼを豊富に含んでいて、消化によい野菜です。


 「すずしろ」。

 これも大変お馴染みの野菜です。
 ビタミンCと消化によいジアスターゼを含んでいる最もポピュラーな野菜です。


 この時期の農園でのぶどう作業の様子です。
 伸び放題になった枝にハサミを入れて、短くカットしていきます。
 4月には、この切り取ったつぼみあたりから新芽が出ます。

 樹木は寒い冬ジッと耐え、また冬の作業は、新たな息吹に向けての準備の時期なのです。

 詩人・草野心平の詩のこんなのがあります。

 「樹木のえらいのは 冬ですと厳しい風雪に堪えてじっと黙っているからでしょう しかし樹木には その冬が 最も楽しいようです やがてくる 春の夢を胸いっぱいに抱いているからです」


 ■■ 所感 ■■

 普段私たちの生活の中では多くの草と向き合っています。
 否、向き合っていると言うより、そのほとんどを「雑草」として見向きもしません。
 また、厄介モノ扱いです。

 ここで取り上げた「七草」も、その名前すら知らなかった人がほとんどではないでしょうか。

 しかし、昔から、生活の中で活かされてきた日本人の知恵は、素晴らしいと思うのです。
 ときには、食材として、また、薬膳として用いられてきた数々の知恵。
 この草は、こういった病に効くとか、傷に効用があるとか・・・。
 そこには、自然に培われた知恵がありました。

 また、和歌の世界でこうした草花を詠むことで、自然を見つめ、自然に同化し、自然を崇めてきたのが日本文化の一面です。

 パソコンなどの便利さで成り立っている現代社会ですが、ときにはこういった野に目をやることが大事なことだと思います。

 これから春に向かって、節分草や、様々な山菜が芽吹き、その採取や活用も工夫次第で楽しいものです。

 そういった面をHPで取り上げていきたいと思います。

丹波市市島町鴨庄地区 にて
(2008.1.13)


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