2004年 今年のお米が取れるまで

2004年 5月 9日(日) 雨

 奥丹波のこだわりの農園と、そしてこだわりの酒蔵の思いを込めた「都市と産地交流」事業が始まりました。
 現地で田植え、稲刈り、仕込み作業、そして搾りを体験しながら、交流会を行う内容です。

 今日はあいにくの雨模様の天候でしたが、奥丹波の農園に、大阪をはじめ、京都、神戸方面から40人近い人たちが集まりました。
 みんな「地酒大好き」、こうした「農村大好き」な人たちばかりです。

 雨にもかかわらず、思い思いの田植えスタイルで圃場に向われる後姿はなんとも勇壮でした。

 田んぼに着くと、早速素足でダブダブと中に入られます。
 都会の方があんなに喜んで素足で田んぼに入られるとはちょっ とした驚きでした。

 「気持ちい〜い」、「土が温か〜い」・・・。
 みんな自然の中に放され開放感かワイワイガヤガヤと賑やかな雰囲気のうちに田植えが進みます。

 この日植えつけた苗は、「杜氏の夢」という酒米でしたが、この酒米からお酒を造るというみんなの夢を託し、これから9月の刈り取りまでこの圃場で生育するのです。

 田植えの後は、農園で食事と交流会を行いました。
 自己紹介では皆さんこの日の「田植え体験」やこれからの酒への仕上がりを大変楽しみにされているとのことでした。
 また、できれば都会を離れ、農村をめざしたいという方もおられました。

 この席で、当の農業者である私からは、次のメッセージを皆さんにお伝えしました。
 以前読んで私なりに納得したコラムです。
 少し長いですが、読者の皆さんご一読下さい。

生命の時代に! <雑誌コラムより抜粋>

 皆さんはこれからの時代をどのような予測をされていますか。
 いろいろな学者などが、これから先の見通しを立てて発表していますが、5年、10年先はもとより、今年1年の見通しでさえほとんど当たったことがないのがこれまでの事実だということです。
 それでは、これからの社会はどのようになるのかということですが、次のようなことがキーポイントではないでしょうか。

 これまでの社会は、いわば欲望が造り出したものと言えます。
 まだ物が乏しかった時代は、「もっと豊かになりたい」、「テレビも買いたい。冷蔵庫も買いたい。」等・・・。
 そして、これら欲望を実現させるため、がむしゃらに働いて実現させたのが現在の社会です。
 モノを手にすることは、大きな喜びであり、感動がありました。

 しかし、これからの時代はと言うと、「もう、物はいい。」という時代になってきたということです。
 ここに経済の行き詰まりの根本原因があります。

 いくら経済対策を施しても限界があります。

 それでは、モノの次の欲望は何かと言うことになりますが、今、認識しなければならないことは、「命が危ない」ということです。
 それほど、現在の「食」や「環境」が深刻になってきているのです。

 経済がもはや持続して右肩上がりの成長が期待しがたいように、寿命も右肩上がりで伸びるとは限らないのです。
 今長生きしているのは、明治、大正生まれであり、これからは平均寿命が縮むことだって考えられます。

 日本人の欲望の中心に「命を守りたい」「健康で長生きしたい」ということが必ず来ると思われます。

 これまでの価値観を変えることが今必要なのです。
 1次、2次、3次、4次と産業構造が進むほど、世の中が進歩したという見方は、大きな間違いだと気づきました。

 第一次的に命に関わるのが第一次産業の農業です。

 価値観が変われば、世の中の見方も変わります。
 これまでは、便利第一。
 コンビニの弁当は腐らないし、コンビニの弁当から食中毒も聞かれません。

 しかし、腐らないのは、裏返せば、腐らない処理がされた弁当ということで命が危ないということなのです。
 弁当、おにぎりの食品添加物の多さには改めてビックリいたします。

 最近のベストセラーに「買ってはいけない本」がありますが、予想を大きく上回る300万部を超えました。

 「安全かどうかと言う基準」がこれから地球全体がいのちの時代に入る中で21世紀は農業が花形にだってなりえます。

 これまで上り列車に乗り、都会へ、都会へとなびいた時代から、大都市から地方への下り列車もまたよしの時代へ。
 自分から変わる勇気が求められます。

 過去40〜50年とこれからの時代大きく変わります。
 未来は、予測するものではなく、すべて自分の考え次第。
 周りが変わること期待するより、自分がまず変わらなければ人は変わらないのです。

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 稲の語源は「いのちの根」とことです。
 田植え後の稲が根を張るように、根を張った生き方が求められているのでしょうね。

2004年 5月 9日(日) 雨


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